民泊大手Airbnbが過去に買収した企業一覧 11年で21社を買収しビジネスを急拡大~Airstair
2019/08/25 Airbnb大家の会
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個人宅の空き部屋を旅行者に貸し出す民泊プラットフォームを運営するAirbnbは2008年にサンフランシスコで創業し、今や世界191カ国6万5千以上の都市でアパートやヴィラから城、ツリーハウスにいたるまで、何百万というユニークな部屋を貸し出している。
最近では、ワークショップやお気に入りのエリア散策などホスト自身が地元の魅力を伝える「体験」を開始したり、各界のエキスパートたちがおすすめするお店やスポットなどを見ることができる「ガイドブック」を開始するなど民泊だけではなく旅行のプラットフォームに向けた事業拡大を加速している。
Airbnbは創業から11年ですでに21社を買収。2019年以降に行われるともいわれる新規上場(IPO)を前に、今後も積極的な買収が予想される。そこで今回は、同社創業からの11年間に買収した企業全21社をご紹介。
Airbnbが11年間で買収した全21社
Airbnbは2008年の創業から3年後の2011年に初めてドイツの民泊仲介サイト「Accoleo」を買収。2012年には5社を買収するするなど矢継ぎ早に買収を重ね、11年間で21社を買収してきた。
直近ではグループメンバーから簡単にお金を回収できるTiltを買収。グループ旅行の場合は代表者が1部屋の予約をすることになるが宿泊料金の回収は代表者自身が行わなければならない。Tiltの買収により今後、宿泊料金の建て替え分の請求が簡単になるといった新サービスが出る可能性がある。
またラグジュアリー物件に特化しているLuxury Retreatsを買収しており、高級物件の掲載を増やしたいという意向もあるようだ。今回は、Airbnbがこれまで買収してきた企業をまとめてご紹介します。
障害者支援の民泊サイトAccomable
Airbnbは2017年11月に、障害を抱える旅行者向けの民泊仲介サイトスタートアップのAccomableを買収したことを明らかにした。英国ロンドンに拠点を置くAccomableは、Srin Madipalli氏らが2015年にスタートした、障害を持つ旅行者向けの民泊仲介サイト。現在、世界60カ国の約1,100件が登録されているという。
Deco Software
2017年4月、AirbnbはReact Nativeのアプリを開発するための統合開発環境 (IDE) を開発する「Deco Software」を買収。iOSやAndroidのネイティブモバイルアプリの開発において、開発者が設計者とより近い関係性を築きやすくすることを目指すもので、同社はAirbnbのReact Native事業のパートナーともなっている。
ソーシャルペイメントのTilt
2017年2月、Airbnbはコミュニティのメンバーから安全に資金を集めることができるP2P決済サービスの「Tilt」を買収した。アイデアやプロジェクトを持つ者がインターネットを通じて不特定多数の人から資金を集めるのに対して、Tiltは不特定多数ではなくよりコミュニティを意識したサービス設計となっているのを特徴としている。
Tiltを利用すると飲み会の代金を参加者全員に一括で請求ができたり、サークルなどのコミュニティでの購入代金を請求できる。また支払い状況を確認することができるだけではなく、支払いがまだの人に対してリマインドもTiltが自動で行ってくれるためとても便利なのが特徴だ。
支払いはクレジットカードあるいはデビットカードで行うことができ、銀行レベルのセキュリティシステムで安全にお金を簡単に送金することができる。
Tiltの競合にはPayPal傘下のVenmo(ベンモー)があり、こちらも米国の若者の間で急速に広まっている。
ラグジュアリー民泊のLuxury Retreats
2017年2月、Airbnbはラグジュアリーな別荘など富裕層向けのバケーションレンタルサービスを展開するLuxury Retreats(カナダ・モントリオール)を買収した。
アパートやヴィラからツリーハウスまでユニークなお部屋を扱うAirbnbとは異なりLuxury Retreatsはハイクラスのバケーションレンタル物件しか扱っていないのが特徴だ。すでに世界100以上のエリアで4000以上の部屋を掲載している。
買収によりLuxury RetreatsのリスティングはAirbnbにも掲載されるようになると共に、Luxury Retreats運営チームもAirbnbのメンバーとなる。なお買収後もLuxury Retreatsのサービスとサポートは引き続き継続する。
アクティビティ予約のTrip4real
2016年7月、Airbnbはアクティビティのマッチングサービスを提供するTrip4realを買収した。Trip4realはツアーやアクティビティを企画したい人とツアーやアクティビティ(旅行体験)に参加したい人とをつなぐCtoCのマッチングサービス。
Airbnbは宿泊の枠を超えてホスト自身が地元の魅力を旅行者に共有する「体験」という新しいサービスをスタートしており、体験を提供するホストの獲得に大きく貢献した模様だ。買収に伴いTrip4dealはサービス自体すべてAirbnbの「体験」に統合されていることからも明らかであろう。
ビットコインベンチャーのChangeCoin
2016年4月、Airbnbはビットコインのマイクロペイメントサービス「ChangeTip」を提供するChangeCoinから、開発者の殆どを雇い入れるAcqui-Hire(買収による人材の獲得)を行った。ChangeTipはFacebook、Twitter、TumblrといったSNSなどを通して、少額のチップをビットコインで送金できるサービス。
昨年Airbnb CEOのブライアン・チェスキー氏がAirbnbが立ち上げるべきサービスについて意見の募集をTwitterで募った際には、ビットコインに関する多数の改善要望が寄せられた。世界大手OTAのエクスペディアでは2014年から決済手段の一つとしてビットコインが導入されているがAirbnbではビットコインの決済に対応していない。
「ChangeTip」のAcqui-Hireもありビットコインの需要の高まりを受けてAirbnbがビットコインを導入する日はそう遠くはなさそうだ。
パーソナル環境センサーのLapka
2015年9月、Airbnbはパーソナル環境センサーなどの開発を手がけるロシアのLapkaを買収した。Laskaは「iPhone」「iPod touch」「iPad」などにつなぐことができるセンサーモジュール。
ステンレス製の探針を果物などの作物に刺すと電気伝導度を計測できる他、ガイガーカウンターのように放射線を検知したり空間の温度や湿度の計測もできる。
従来であれば専用の機械を用意する必要があったがLapkaであればその必要はなく、iPhoneに接続するだけで周囲にある目に見えないものを計測できるメリットは大きい。
フライト検索サイトのVamo
2015年9月にAirbnbはフライト検索などを手がけるVamoを買収した。Vamoは5人のエンジニアと1人のデザイナーの計6人のスタートアップでAirbnbによる買収によりサービスは終了するとともにAirbnbチームに入った。Airbnbによる買収により現在Vamoのサービスは終了している。
スケジュール管理アプリのPencil Labs
2014年12月、Airbnbはスケジュール管理アプリ「Wyth」を運営するPencil Labsを買収した。Pencil Labsは2013年にマサチューセッツ州ボストンで設立したスタートアップ企業で、カレンダーに加えてメッセージの送受信やスケジュール調整ができるアプリ「Wyth」を提供。
「Wyth」では自然言語処理テクノロジーをベースに構築されているなど最先端の技術が使われている他、特定の単語やフレーズがどのように使われているかを理解するなどパーソナライズ化されている点を特徴としていた。Airbnbによる買収により現在Wythのサービスは終了している。
地域Q&AサイトのLocalmind
2012年12月、Airbnbは旅行やお店に特化した地域Q&AサイトであるLocalmindの買収を発表した。Localmindはユーザーがオンラインで特定のエリアについて質問を投稿できる地域特化型のQ&Aプラットフォーム。
Localmind上で特定のエリアに関する質問を投稿するとリアルタイムで回答を得ることができ、例えば現地に詳しい人におすすめのお店を教えてもらうといったこともできるのが特徴だ。
Airbnbは2012年に都市の魅力を伝える「人気都市ガイド」をリリースするなど、宿泊施設を選ぶ上で重要になるローカルな情報への投資を強化していた時期で、人材獲得の一環でLocalmindを買収したとみられる。Airbnbによる買収により現在Localmindのサービスは終了している。
飲食店のレビューコミュニティサイトFondu
2012年10月にAirbnbは飲食店のレビューコミュニティサイトであるFonduを買収した。Fonduはモバイル体験を通じて新鮮な新しいレストランを見つけるのを手助けするスマートフォンアプリだった。買収によりFonduチームはAirbnbチームにジョインするとともにサービスを終了した。
自撮り共有サービスのDailyBooth
Airbnbは2012年7月に自撮り共有サービスのDailyboothを買収した。DailyboothはノートPCの内臓カメラや、iPhoneのカメラなどで自分の顔を撮影し、シェアするサービス。
Dailyboothは写真版Twitterのようなサービスで欧米の若年世代を中心に急速に利用者を増やしていた。Dailyboothは、Airbnbと同じく世界有数のスタートアップインキュベーター「Y Combinator」出身であるのに加えて若者を中心にサービスを急拡大させていたことが買収の理由として挙げられそうだ。
観光情報サイトのNabeWise
Airbnbは2012年7月に、旅行先となる地域の観光情報を発信していた情報サイトNabeWiseを買収した。NabeWiseは、ニューヨークを拠点に置くスタートアップで特定の場所に関して案内情報を集約するサービスを展開していた。
2012年にAirbnbがリリースした都市の魅力を伝える「人気都市ガイド」の強化と人材獲得を目的に買収したとみられる。
イギリス民泊仲介サイトのCrashpadder
2012年3月にAirbnbは、イギリスの民泊仲介サイトCrashPadderを買収した。CrashPadderはイギリスロンドンに拠点を置きAirbnb同様に民泊プラットフォームを運営していた。この買収で6,000ものリスティングを取得することとなり、Airbnbは英国最大の民泊プラットフォームとなった。
同年にはロンドンオリンピック2012の開催が決まっており、急増する宿泊需要に備えてイギリスに強い民泊仲介サイトを買収したと見られる。
ドイツ民泊予約サイトのAccoleo
AIrbnbは、2011年1月にドイツ・ハンブルクに本社を置く民泊仲介サイトAccoleoを買収した。この買収でドイツが同社初の国際拠点となった。Airbnbは2011年時点で世界181ヵ国、13,000の都市で宿泊することができるがAccoleoの買収でリスティングを獲得する狙いがあったとみられる。
編集部より:この記事は Airstair 様の2019/08/13の投稿を転載させていただきました。