弁護士に聞く!よくあるトラブルと対処法①〜民泊物件.com
2016/11/04 Airbnb大家の会
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こんにちは。民泊物件.com運営局です。
今回よりミンブツコラム「弁護士に聞く!シリーズ」を開始いたします。本日は第1回として、民泊運営においてよくあるトラブルと対処法①−民間編−をお伝えいたします。
教えてくださるのは弁護士・石原一樹先生です。最近は民泊トラブルの相談がとても増えているようですので、プロから正確な知識を学んでいきましょう。
弁護士に聞く!シリーズ
弁護士に聞く!シリーズは以下4回を予定しております。
第1回:民泊運営においてよくあるトラブルと対処法①−民間編−
第2回:民泊運営においてよくあるトラブルと対処法②−行政編−
第3回:合法民泊を運営するために
第4回:個人でもできる民泊ルール作りへの関与
今回は民間編ということで、
1.物件の賃貸借契約
2.マンション管理規約
3.近隣住民とのトラブル
ついてよくあるトラブルと対処法を整理してみます。
■1.物件の賃貸借契約
<トラブルとなりうるリスク>
賃貸借についての定めを置く民法612条1項では、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定められており、原則として転貸することができないようになっています。そのため、賃貸借契約書で転貸が禁止されている場合はもちろん、明示的に転貸について記載がない場合も、原則として禁止されていると考えられます。
仮に賃貸借契約で禁止されているにもかかわらず、無断で転貸をしてしまうと賃貸借契約を解除される恐れがあり、思わぬ形で退去せざるを得ない可能性があります。実際に無断転貸の発覚により即刻退去を命じられたケースはとても多く、初期費用の回収すらできないままに事業撤退をすることになります。
<対処法>
賃貸借契約を締結する際に、賃貸人から転貸許可をもらい、契約書に明示してもらうか、口頭やメール等でも承諾を得たことを残しておくことが必要です。民泊の運営がストレートに転貸借にあたるのか、という点については議論の余地もあると思いますが、いずれにせよ何らかの形で賃貸人や賃貸管理会社から承諾を得ておくことが望ましいと思います。
民泊物件.comでは契約書の特記事項に以下文面を入れて頂くようおすすめしております。
“第●●条(特約事項)
1.賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2.賃貸人は、賃借人に対し、不特定多数の者への転貸を許可したものとする。”
■2.マンション管理規約
<トラブルとなりうるリスク>
標準管理規約を使用しているマンションであれば、規約の中に、「専ら住居として使用する」旨の文言が定められているはずです。文字通り読めば、住居専用として使用することが求められていると考えられますが、場合によっては事務所やオフィス兼用として利用することもありうるのでどこまでが「専ら住居」なのかが問題になることがあります。さらに、最近では、「不特定多数の者を有償で宿泊させ、またはそのため供することを禁止する」といった条項が明示的に付加されている場合があります。
<対処法>
入居(物件購入または賃借)前に、当該物件のマンション管理規約をよく確認しておく必要があります。なお、自己所有物件である場合、所有者は、区分所有法31条1項で、「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」という規定があるため、所有者の承諾なく規約変更したとしてもその効力が生じない可能性があります。
■3.近隣住民トラブル
<トラブルとなりうるリスク>
民泊ホストを悩ませる問題として厄介なのが、近隣住民とのトラブルです。法律的な問題に発展することはあまりないと思いますが、事実上の問題として、民泊運営に支障を来す可能性があります。具体的には、ホストにクレームをするだけでなく、ゲストにまで嫌がらせに近いような行為をされることもあるそうで、そうなると健全な民泊の運営は事実上困難になる恐れがあります。
<対処法>
近隣住民の主張するクレームの内容を精査する必要があります。ごみの出し方なのか、騒音なのか、ケンカしたのか等当該近隣住民が何を主張しているのかを正確に確認したうえで、ホスト側の問題なのか、ゲスト側の問題なのか、どちらでもないのか、を整理します。そのうえで、法律上責任がある問題なのかそうでないのかを判断する必要があります。器物損壊や暴力沙汰など法律上責任がある場合は、専門家に相談したほうが良いと思います。逆に、法律上責任がない、ということであれば、誠実な交渉によって矛を収めてもらうほかないと考えます。
まとめ
1.賃貸借契約と2.マンション管理規約については、事前に物件・契約について確認することで強制退去のリスクを避けられます。特に民泊物件.comでは物件情報を掲載する不動産会社様に「民泊可能物件」のみを掲載するようガイドラインを設けていますので引き続きご活用ください。
また近隣住民トラブルについては、誠実な対応をすること。その上で法律上の責任が発生する場合・またそれに該当するかどうか分からない場合には専門家に早めに相談するようにいたしましょう。
民泊物件.comでは皆さまがトラブルなくスムーズな運営をできるよう応援いたします。
教えてくれたのは・・・
弁護士・石原 一樹 先生
ヤフー株式会社で企業内弁護士として勤務後、外資系法律事務所を経て国内の法律事務所に所属。株式会社コラビットのジェネラルカウンセルにも就任し、法務観点からイノベーション事業のサポート、アドバイスをしている。その他、ITベンチャーやフリーランス向けにもリーガルサービスを提供している。
実際に相談をしたい場合、石原先生が運営する民泊ホストのための法律相談サービスをご利用ください。
それでは石原先生、第2回も宜しくお願いいたします。
編集部より:この記事は、民泊物件.com 様の9月7日投稿を転載させていただきました。