軽井沢町の町内全域「民泊禁止」方針発表〜民泊の教科書
2016/08/14 Airbnb大家の会
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リゾート地として有名な軽井沢町が3月30日に「民泊施設等の取扱基準について」として、町内全域での民泊禁止の方針を発表しました。
軽井沢町では「民泊施設」と「貸別荘」を分けて取扱基準を設定しています。
民泊に関して
軽井沢町は古くから観光地・リゾート地としてとしてのまちづくりを進めています。
出来るだけ多くの観光客が快適に過ごせるように法令の手順を経て多数の宿泊施設が設置されています。
そういった今まで築き上げてきた「善良なる風俗の維持及び良好な自然環境の保全」を最優先とする必要があるという判断から、民泊と貸別荘に関しての基準を発表したとのことです。
民泊の取扱基準
民泊に関しては非常にシンプルです。
「民泊もカプセルホテルも軽井沢町内では認めない」というものです。
ここで注目すべきは「改正後の旅館業法施行令(平成28年4月1日改正)により延床面積の規定が緩和されたことにより生じる簡易宿所」つまり旅館業法を緩和した後、旅館業として合法的に営業が出来る「民泊施設」も町内での営業を認めないとしている点です。
貸別荘という例外もありますが、後述しますように厳しい基準がありますので、民泊の抜け穴として利用するようなことは出来ません。
貸別荘に関して
貸別荘に関しては民泊とは異なる位置づけをしていますが、1ヶ月以上の契約期間や用途変更、用途地域の制限、近隣説明、転貸の不可など細かい条件を設定して、民泊の抜け穴として利用されないようにしています。
貸別荘の取扱基準
貸別荘に関しては、以下のように民泊と異なる取扱基準を設定しています。
賃貸契約期間
1ヶ月以上とされていますので、観光客が一泊二日で泊まる民泊のような利用は出来ません。
この1ヶ月以上というのは旅館業法の適用がない賃貸借契約期間の目安となるものです。
用途地域制限
用途地域に加えて自然保護協定などの締結地でも貸別荘はできないとして、民泊と同じように「騒音や風紀の乱れを防ぎ、良好な環境の保持を最優先する」という姿勢を打ち出しています。
用途変更条件
用途変更を行う際には条例に基づいて事前協議が必要とすることで、知らないうちに貸別荘が増えて自治体が把握出来なくなるようなことがないようにしています。
近隣説明範囲
大田区の民泊条例(大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する規則)の第9条でも以下の範囲の近隣住民への書面での周知を義務付けています。
転貸不可
転貸が問題になる場合は一般的には大家に内緒で営業する無断転貸が多いのですが、軽井沢町の場合は転貸自体を禁止しています。
転貸の場合は事故が起こった場合の責任の所在が曖昧になる可能性もありますので、そういった点を考慮しているのかもしれません。
その他
それ以外にも以下のような基準が設定されています。
今後の注目点
現在、airbnbなどの民泊仲介サイトにも軽井沢町の物件は登録されています。
現在登録されている物件が旅館業登録しているのかしていないのかは分かりませんが、簡易宿所として旅館業登録していても軽井沢町では営業が出来ないことになります。
しかし、旅館業法の許認可権は県にありますので、許可を取ったものまで禁止する強制力までは町にはありません。
今後、軽井沢町は県に対して町内での民泊は許可しないように働きかけていく考えだそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
観光地の環境作りは、宿泊施設だけではなく近隣の住民や地域の生活の中で長い間かけて作り上げてきているものです。
単に宿泊施設が足りないからという理由で、宿泊施設の部分のみを緩和してしまうと、他の部分にしわ寄せが行く可能性もあります。
今後の軽井沢町の動向とそれ以外の自治体の動向も注意深く追っていきたいと思います。
編集部より:この記事は、民泊の教科書様の2016/4/1の投稿を転載させていただきました。