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えっ!?トイレの数が問題!?民泊を始める時にぶつかる意外な壁〜民泊の教科書

2016/07/27 Airbnb大家の会

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民泊ビジネスのご相談を頂くときに「民泊を始めるには旅館業法という壁がありますから」と言われることがあります。

しかし、そう言われる人の中でも、意外と旅館業法の「何」が壁になるのかを明確に認識されていない人も多いように思います。

旅館業の要件として、「広さ」「消防設備」と並んで、実は「トイレの数」が問題になることが多いのです。

「え?トイレの数?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、どのように「トイレの数」が決められているのかを、分かりやすくご説明したいと思います。

 

旅館業の営業種類別要件

旅館業にはホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の4種類があります。(詳しくは『旅館業法とは』をご参照下さい)

旅館業法では営業の種類によってトイレの種類や設置方法が決められています。

例えば、ホテル営業では、トイレは「水洗式かつ座便式のものがある」という条件に加えて、客室内に設置するトイレ以外の客用のトイレは「男子用及び女子用の区分があること」が要件になっています。

それに対して、旅館営業、簡易宿所営業及び下宿営業については、「適当な数の便所を有すること」と規定されています。

新しく民泊ビジネスを行う場合は「簡易宿所営業」がほとんどだと思いますので、今回は「簡易宿所のトイレの要件」をご説明していきたいと思います。

また、トイレや洗面の数は旅館業法ではおおまかに規定して、詳細は各自治体の条例で規定されていますので、細かい数字や条件は自治体によって異なります。

このページでは大阪市の条例に関してみていきたいと思います。

その他の地域の条例も似通った部分はたくさんありますので、ご参考までにご覧頂けましたら幸いです。

 

適当な数のトイレ

旅館業法では、簡易宿所のトイレの数は「適当な数」と規定されています。

「適当な数って言われても・・・」と困ってしまいますが、この「適当な数」がどれくらいなのかは、各自治体の条例で定められています。

例えば大阪市では以下のように収容定員によって便器の数が規定されています。

また、この下記の場合、大便器と小便器の割合は、原則としてほぼ同数にすることともされています。

 

収容定員が30人以下の場合
収容定員便器数
大便器小便器
1~5
6~10
11~15
16~20
21~25
26~30

 

共同トイレの設置

共同トイレとは「男子用と女子用とを区分したトイレ」のことを指します。

つまり、「男女兼用トイレ」は共同トイレには該当しません。

簡易宿所というのは多人数で共用する宿泊施設という定義ですので、共同トイレ、つまり男女別のトイレを各自治体の条例で規定された数だけ設置しなければいけません。

 

手洗い設備の設置

トイレには手洗い設備を設置しなければいけません。

「トイレの外にあるからいいでしょ」と思われるかもしれませんが、それではトイレに設置したことにはならないとなる可能性があります。

トイレの中に手洗い用の蛇口(給水栓)があったとしても、「洗面設備の給水栓は、5人当たり1個以上」という規定に注意しなければいけません。

もし収容人数を6人とした場合、蛇口が2つ必要になります。

しかも、「1給水栓当たり幅員0.6m、奥行0.5m以上が望ましいこと」とされていますので、2つ設置となると、ある程度の広さも必要になります。

 

その他のトイレの条件

数や手洗設備以外にも下記のような規定が設定されています。

望ましいということは、絶対条件ではありませんが、この条件をクリアしなければ許可がおりない可能性もあります。

実際に申請する際には、申請窓口の担当者と相談しながら進めていくことになります。

 

トイレの広さ

トイレの広さに関しても「望ましい」という表現で以下のような条件が挙げられています。

  • 大便所は、適当な広さを有する(おおむね幅員0.9m、奥行1.2m以上が望ましいこと。)構造であること。
  • 座便式便所を設ける場合は、便所の正面の出入口からおおむね0.4m以上の間隔を有することが望ましいこと。
  • 小便器を隣接して設ける場合、小便器の間は、適当な間隔を有すること(おおむね0.7m以上が望ましいこと。)

 

トイレの設備

換気設備は必須条件、掃除用具の保管に関しては望ましい条件として挙げられています。

  • 便所は、悪臭を排除するため適当な換気設備を備え付けること。
  • 便所には、清掃用具専用の保管設備及び洗い場を設けることが望ましいこと。

 

トイレの要件が「壁」になる理由

今まで見てきましたように、かなり細かくトイレの要件が決められていますが、普通の住宅用の家やマンションで男女別トイレがあるというところも少ないと思います。

そうなると、トイレを増設するリフォームが必要ということになり、数十万円から百万円以上の費用がかかる可能性もあります。

これが、トイレの要件が「壁」になる最も大きな理由です。

そういったリフォーム費用を出したとしても回収出来るかを考える必要があります。

 

トイレの制限をなく民泊を行うことはできる?

国家戦略特区で制定されている「民泊条例」にはトイレの数などに関する規定はありません。

民泊条例で認可された宿泊施設は、旅館業法の適用がありませんので、条例に規定がなければ、トイレの数は関係なく営業することが出来ます。

ただし、民泊条例には宿泊日数など、旅館業法にはない規定もありますので、十分ご注意ください。

民泊条例に関しては『民泊条例とは』をご参照下さい。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

トイレ一つとっても、これだけ細かく条件が決められているのに驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こういった条件を調べずに、「民泊ビジネスをはじめよう!」と思い立って、先に物件を買ってしまって、後から後悔するようなことになると大変ですので、まずは法令をじっくり調べてから物件を探すことをおすすめします。

民泊条例では、こういったトイレの制限を設けていない自治体が多いのですが、旅館業法には無い民泊条例だけにある制限もありますので、注意が必要です。

今後、旅館業法の規制緩和の可能性もありますので、そういった動きを見ながら、どこでどんな物件を使って民泊を始めるかを決められるのが良いかと思います。

 

編集部より:この記事は、民泊の教科書様の2016/2/29の投稿を転載させていただきました。

 

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